ポケモンのロゴ制作者、その正体を初公開

Dec 19,25

アメリカ任天堂の社長から突然電話がかかってきたら、ためらわずに出るものだ。1998年、デザイナーのクリス・メイプルは同僚デザイナーから電話が来ることを事前に知らされ、まさにその通りにした。当時、企業の重役からの思いがけない電話は、メイプルにとって珍しいことではなかった。シアトルに本拠を置き、高圧的な状況での土壇場デザイン解決を専門とするメディアデザイン社を経営していた彼は、表立って賞賛されることは稀だったが、ボーイング、シアトル・マリナーズ、ホーランド・アメリカラインなどの地域の大企業の間で静かに評判を築いていた。

キャリアを重ねたある日、メイプルはアメリカ任天堂の社長、荒川実の秘書から電話を受け、レドモンド本社への招待を受けた。ゲームプロジェクトに彼が必要だと言われたが、詳細はなし。興味をそそられて応じたメイプルは、やがて世界最大のポップカルチャー現象の一つ、ポケモンのローンチに決定的な役割を果たすことになると知る由もなかった。

ポケモン、西へ

メイプルは任天堂のロビーで待ちながら、目を引くクリスタルの馬の彫刻に夢中になっていたことを思い出す。「企業の場では、その場の空気を読むように学びます」と彼は言う。「プロジェクトが何なのかを知る前に、その場のエネルギーを測っていたんです」。やがて会議室に案内され、メイプルが「人を惹きつける存在」と評する荒川が、彼らの課題を説明した。彼らは『ポケットモンスター』を西洋向けに『ポケモン』として再ブランディングしており、それまでの代理店では成果が出ていなかった。新しいロゴが迅速に必要だったのだ。

その後、スタッフが机の上におもちゃ、スケッチ、奇妙な絵の描かれた箱をどさりと置いた。「これは何ですか?」メイプルが尋ねると、荒川は簡潔に答えた。「ポケモンです」。

1ヶ月という期限以外に指示はなく、メイプルは手で様々なバリエーションをスケッチし始めた。彼は厳しい制約下で作業した。ロゴはゲームボーイの小さな画面に収まり、白黒でも機能しなければならない。プレイするゲームも多くの背景情報も与えられず、ただ小さなピカチュウのフィギュアと初期の『Nintendo Power』の資料だけだった。

自宅のオフィスにいるクリス・メイプルと息子。(写真:クリス・メイプル)

消えたクリスタルの馬

数日間、私はインターネットをくまなく探し、メイプルがデザインに微妙に影響を与えたと主張する任天堂ロビーの彫刻の痕跡を探した。しかし、その存在を確認できる動画も元従業員もいなかったーーダビッド・シェフの著書『ゲームオーバー』(198ページに「ガラスケースに入ったクリスタルの馬の頭」と記載)に言及があるという情報に辿り着くまで。もしこの品物をご記憶の方ーーできれば写真をお持ちの方は、[email protected]までご連絡ください。

天才の一撃

ロゴデザインには通常6ヶ月かかる。メイプルに与えられたのは4週間だった。彼は複数の選択肢を草案し、お気に入りを最後に取っておいた。プレゼンテーションで、任天堂のドン・ジェームズが沈黙を破った。「これだ」。PとEに微調整を加えた後、あの象徴的な黄色と青のロゴが完成したーーちょうど1998年のE3でのポケモンデビューに間に合うように。

なぜその色か?メイプルは肩をすくめる。「ただ、しっくりきたから」。青版と黄版のゲームからの無意識の影響を認めつつも、その選択は直感によるところが大きいという。

初期のポケモンロゴスケッチ

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ロゴに遺されたもの

数ヶ月後、メイプルはトイザらスの巨大なポケモン展示につまずくように出くわした。「すごいなあ」と、当時を振り返る。ロゴの微調整後、彼の関与は終わったが、その後『ケン・グリフィー・ジュニア プレゼンツ MLB』や『ローグ スコードロン』などのプロジェクトにも携わった。

何十年もの間、メイプルは沈黙を守っていたーーデザイナーが功績を認められることは稀だからだ。しかし最近、彼は自分の役割を取り戻すことを決めた。なぜ今か?主に息子の強い勧めによる。「人々は真実を知るに値する」と彼は言う。

モダンロゴのモックアップ

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ポケモンが30周年を迎えようとする今、メイプルには一つ願いがある。もし任天堂がロゴを更新するなら、彼に相談してほしいということだ。「そっとケアが必要なんです。ただ『30周年』と貼り付けるだけじゃなくて」。

自分の影響力を理解しているのか?「教えている子供たちが、私がデザインしたと知ると大騒ぎしますよ」と彼は笑う。「でも正直なところ?ただ、それが共感を得られてよかったと思っています」。

ポケモンロゴのカラーテスト。(クリス・メイプル提供)
調整前、最初に承認されたバージョン。
私たちが知る、最終的なポケモンロゴ。
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